明治の洋館の復元

重要文化財である旧岩崎家の復元工事に際し、建築時と同様な塗料を用いて塗装することが必要になり、残存する塗膜層を分析することとなりました。旧岩崎家住宅の主体は洋館、ビリヤード室、及び和館からなり、明治洋風建築の代表作として高く評価されています。洋館、ビリヤード室は鹿鳴館を手掛けた英国人建築家コンドルが設計したものです。

洋館は木造二階建て、地下室つきで欄干には見事な彫刻が施されており、塔屋頂上部や窓の半円飾り部、屋上庇などは銅板で重厚に装飾されています。
塔屋頂上部はルネサンス風に、柱の形態はギリシャ様式を、正面玄関や壁面部にみられる装飾はイスラム文化の香りがし、南側ベランダ床のタイルはイタリア風になっています。さらに洋館内部のいたるところで西洋文化と東洋文化とが融合しています。
現在は一般公開されていますが、湯島天神近くにある現存の建築物を見ていると、様式文化を盛んに取り入れていた明治の意気込みと熱意が伝わってくるようです。
洋館外装部(素地:檜と銅板)および内装部の各場所から採取した塗装片について塗膜断面の観察と塗膜成分の分析から、明治時代の洋風建築物には重合油をバインダーに、白顔料には酸化亜鉛が使用されていることが解明されました。油性調合ペイントが検出できれば建築当時の塗膜層が残存すると言えます。第一区間には油性調合ペイントの下塗り、中塗り、上塗りの三層からなる塗装系が規則正しく何度も連続して存在しており、塗膜はクリーム色で統一されていることが認められましたので、復元塗装をすることができました。

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